「言語障害に苦しむ方のためにベトナムでの言語聴覚士の養成支援および言語口腔機能発達センターの開設事業」
ベトナムでは言語聴覚士の国家資格を持つ専門家がいないことから、様々な原因による言語障害のある患者に対して、問題の特定と適正な治療を提供できていません。同国で口唇口蓋裂の状態で出生する子供は平均年間3,000人と推定され、口唇口蓋裂以外の原因である外傷性脳損傷、神経障害、難聴、また脳血管障害による成人の患者を考慮すれば、年間10,000人以上の患者が適切な医療が受けられておらず、言語聴覚士の育成は同国において急務となっています。
日本口唇口蓋裂協会は、愛知学院大学 歯学部附属病院、健康科学部健康科学科言語聴覚士コースの専門家、ならびに未来口腔医療研究センター大原康之記念寄附研究部門ベトナム研究所の協力を得て、同国の医学部、歯学部を主導する国立ハノイ医科大学の同大学大学院に言語聴覚士のコースを新設するための支援を行いました。
実施事業の概要
1.言語聴覚センター開設
2024年8月に国立ハノイ医科大学内に大学院附属言語口腔機能発達センターを設立しました。
センター内の備品
・言語聴覚士養成教育に必要な医療機器
・嚥下内視鏡用ワイヤレスファイバースコープシステム
・テーブル、椅子(言語聴覚士用、患者用)等
ハノイ医科大学 言語口腔機能発達センター
ハノイ医科大学への贈与機器
2.ベトナム人歯科医師への診療機器の技術移転
言語聴覚センターで使用する診断機器の習得のために、国立ハノイ医科大学より2名の担当者(歯科医師)を日本に招聘し、必要となる技術移転を実施しました。
‐言語聴覚士の診断における基礎知識の取得
‐言語聴覚士の診断ツール嚥下内視鏡用ワイヤレスファイバースコープシステムの仕様、機器の操作方法の習得
‐診断機器のベトナムでの使用のための英文マニュアルを準備しました。
3.日本人専門家の国立ハノイ医科大学への派遣
2024年9月4日から7日まで、日本人専門家2名 愛知学院大学健康科学部牧野日和教授、早川統子准教授を国立ハノイ医科大学に派遣し、国立ハノイ医科大学教員に、言語聴覚士の臨床のための講演、大学院における言語聴覚士コースのシラバスについて講演を実施しました。
国立ハノイ医科大学 医療機器の供与式
日本人専門家による技術移転
4.国立ハノイ医科大学 教員の招聘
2024年12月2日から5日まで、Nguyen Huu Tu学長、Tong Minh Son歯学部長、 Nguyen Minh Duc講師を招聘し言語聴覚センター設立後の言語聴覚コースについて日本のシステムを参考にして、国立ハノイ医科大学歯学部が作成する大学院言語聴覚士コース向けのシラバスの作成について検討を行いました。
言語聴覚士大学院修士課程の創設のためのシラバス検討会議
(於:愛知学院大学健康科学部)
愛知学院大学歯学部附属院見学
5.言語聴覚士コースのシラバスの作成支援
愛知学院大学大学院歯学研究科で博士号を取得した国立ハノイ医科大学大学院 Nguyen Minh Duc 講師を招聘し、日本人専門家指導の下、国立ハノイ医科大学の言語聴覚士コース シラバスの作成を支援しました。
当事業により、将来的にはベトナムにおいて言語聴覚訓練を必要とする患者に、適切な治療を提供できる言語聴覚士を育成することが可能となり、また当事業を通じて日本とベトナムとの医療分野の交流を活発にするとともにベトナム国内における医療の質の格差を是正するための一助となることが期待されます。